わすれたくない

記憶容量が極端に少ない自分のための備忘録。腐女子注意。

貞子VS伽耶子


映画『貞子vs伽椰子』予告編



観る前「妖怪大戦争かな」
観た後「妖怪大戦争だった」



以下、ネタバレあります。







わ……私はいったい何をみせられていたのだ……!?


映画館の上映中に大声を出してしまった映画はこれが初めてでした。いやー、これは声出ちゃうよー!むしろびっくりしない人はいないと思うなあー!




呪いのビデオも呪いの家も都市伝説となった現代、女子大学生のユウリとナツミは偶然呪いのビデオを再生してしまう。命のリミットは2日間。
同時期、父親の転勤により呪いの家の向かいに越してきた女子高生・スズカは、呪いの家に立ち入って失踪した少年と接触を持ったことにより、伽椰子に呼ばれることとなる。
若き最強霊媒師ケイゾウが唱える彼女らを救う秘策は、「バケモノにはバケモノをぶつける」という手段だった。しかしその目論見ははずれ、一体の怨霊となった貞子と伽椰子は全世界へとはばたくのであった。



いつかの受験勉強中、長文を三行にまとめる項目についてはいかんなく?才能を?発揮してきた?ことでお馴染みの私ですが、もうなんか正直その才能がなかったとしても三行以上なにも言える気がしない、自分が何を見せられどの視点でものを語ればいいのかがわからない、よって孔明みたいな顔で「はわわ・・・」と言っておくしかない


ホラー映画の感想を述べる場合、真っ先に「怖かった?」と問われるのですが、これに関しては「そういう問題じゃなかった」としか言えない
みなさん絶賛してる音響もぞわぞわしましたし、お馴染みの「今!今怖いことが起こりますよ!」という雰囲気作りもしっかりされており、ビクビクしながら観ていました。でも終盤の展開でそういうの全部どうでもよくなるっていうか怖がってる場合じゃなくなるっていうか、
「姿は見えない、けれど確実に自分に対する殺意を感じる恐怖演出」→「バケモンバトル」
という構成になっているために、最終的な感想として「怖いとか怖くないとかそういう問題じゃない」となるのではないかと思いました。


タイトルでまずいろいろと思うことがあると思います。この「VS」はバットマンVSスーパーマンの「VS」と同じ意味でした。白石監督は「アベンジャーズの幽霊版」と仰っていたけど、マーベルじゃなくてDCじゃないかな。いや、全然違うんだけど。VSと言いつつも~~~??最終的には~~~~????系ですねこれね



「VS」というだけあって、怨霊二体の殴り合いは熱く胸震えました。呪いの家で呪いのビデオを再生するという展開がすでに両作品ファンとしては胸熱展開、さらに前門の貞子、後門の伽椰子、両者見合って見合ってはっけよいのこった、おっと伽椰子の関、貞子の海を投げ飛ばしました、しかし貞子の海は髪を伸ばして伽椰子の関を足止めしているー!獲物、逃げる逃げる!俊雄乱入アタックチャンスかー!?いかがでしょう解説の孔明さん!
孔明「井戸です」


 もうこんなんだよ!さっぱりわかんねーよ!でも本当にこのシーンは熱かった!私この5分くらいの映像のために1300円払ったよ!正直「VS」といっても殺した人数のスコアマッチかと思っていたんですけど、こんな肉弾戦が繰り広げられるなんて!お値段以上だよ~~!!



 現場は大興奮なわけですが、最終的にはすがすがしいまでに人間滅亡をぷんぷんにおわせるEDでしたね。



 これはホラー映画によくある「なにかしらが解決する」EDの裏をついたのかな、と思いましたが、よく考えなくてもそもそも和ホラー映画の多くは「悪霊圧勝」EDなんでしょうね。ホラー映画ではっきりした人間の勝利がオチになるのは洋画のサイコホラーなどに多い気がします。呪怨は町全滅ED、リングは病原菌蔓延EDだし、着信アリなんかでも最終的には柴咲コウにっこりEDのあの絶望感。残穢も全滅ED。零は零という名の百合映画だったので省きたい。
 私は自然と、これまでの「静かな狂気」をにおわせたオチを求めていたのだと思います。
 なので、奇奇怪怪魑魅魍魎跳梁跋扈、画面、音声の情報過多、あの状態から聖飢魔Ⅱのエンディングテーマが流れた瞬間「えーー!」と叫んでしまったのはもう仕方がなかったということにしてください!恥ずかしい!申し訳なーい!
 2000年代のブラクラってああいう感じだったなあ、私が小学生のころはウォーリーを探さないでが流行っていたなあ、パソコンの時間に勝手にそれを検索して大声スピーカー再生かまして先生がたに烈火のごとく怒られた奴がいたものだなあ、そんな幼いころの思い出が走馬灯のように駆け巡る中画面にはテロップが駆け巡っていました。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ



 今回の呪いのビデオは井戸でなく、どこかの家のドアがゆーっくり開いてそこから貞子が登場するというものでしたね。井戸じゃないんだ~と疑問なのですが、これはあれかな、最終的なさだかや子のバランスを取っているのかな。全体的なバランスは貞子だけど彼女のホームグランドである井戸を映さずよたよた歩いて伽椰子感を演出するよ、みたいな……?
 でも最初は死のタイムリミットまで一週間だった設定が2日間になっていたり、呪いのビデオ内の髪をとかす映像などがなくなってシンプルにまとまっていたり、もうビデオじゃなくてネット上のストレージでも構わなくなっていたり、「あまり過去の私と今の私を比べないで」という貞子さんの女心だった可能性もありますね。私だって現代に適応しているのよ、ひと昔前のアンチウイルスソフトじゃ私をバスターすることはできないのよ!
 伽椰子さんサイドもどうやら呪いの家が引っ越しされていたようで、CMの違和感が解決しました。伽椰子さんってほかの家にも出張するのかあと思っていた。そういえば終わりの始まりであの家潰されてましたもんね。呪怨THEファイナルの家なのかな?



 そして登場人物ですが、数は多かったですね。
やはり女性客的に気になるのは「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」でお馴染みのケイゾウさん。若き最強霊媒師だそうです。というか作中で彼についてほとんど触れられていない!視点となる女の子たちが彼自身に興味ないもんだから何も情報収集しないんですよ!そんな探索能力で、TRPGだったら死んでるぞ!と思ってましたがTRPGじゃなくても死んだねドンマイ
 ケイゾウさん、女の子たちにはとことん優しくないんですが、相棒だという幼女ちゃん、彼女のことは大切に守っていた様子でしたね。特異な能力ゆえのはじきもの同士繋がりあうものがあったのではないかと思わせる気になる関係性の2人でしたが、そんなエピソードは一切登場しないんだ
 寺生まれのKさんだと思って安心して観ていたので、彼が足をへし折られた時点での緊張感はMAXでした。


 女の子たちは悲鳴要員でしたね。大事ですね。さだかやが殴り合っている最中にキャーキャー悲鳴を上げている様子は、プロレスのベルト争奪戦のリング上に突如放り投げられた観戦者感すらあって最高にかわいそうでした。喉痛いでしょ~はちみつゆず飲みな~



 最終的に貞子と伽椰子の封印は失敗。中途半端に封印をかけた井戸から解き放たれしさだかや子は一体となり、ナツミによってネット上に広まった呪いの動画を媒介にして全世界デビューを果たすのであった。



 なにをしたって独りぼっちの女性怨霊どうし、通じ合うものがあったのかもしれませんね。あなたはどこから?私は井戸から。私は屋根裏から。ピシガシグッグッ
 嫌いなもので繋がった女同士の友情は変な強さがありますから、地球から人類を駆逐しつくまでズッ友を続けるかもしれません。
 しかし女同士の友情は儚いものですから、二人してアメリカのゴーストバスターのひとりに恋をして、結果大乱闘の末に分裂することもあるかもしれませんね。
 個人的に気になるのは、俊雄がさだかや子についていくのかというところでもあります。親権も気になります。



 私は前述した殴り合いシーンがあっただけで☆5つは硬いなという感想なのですが、同行者はまったく納得していませんでした。
個人的には、突き抜けていて気持ちのいいホラーだと思います。これまでの呪怨、リングの中で、死ぬタイミングや順番が出来レースだったりいきなりお母さんの足がなくなったり、そういう類の理不尽は「こういう世界観だから!」で押し通すべき土壌が出来上がっていますので、そういった細々した不条理を許せない場合は厳しいかもしれませんね。けれど勢いで押し通したいっそすがすがしいほどの人間の敗北、私は好きです。



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